収容とは、外国人の身柄を拘束することです。退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由がある外国人が収容・拘束されます。簡単に言うと、その外国人を退去強制しないといけないかもしれないし、そうでないかもしれないので、退去強制の是非が決まるまで、念のため身柄を拘束させてもらう、ということです。その収容の命令が収容令であり、その書面が収容令書です。
収容に至る流れと収容後の流れ
収容の前後の流れはその起点から終着まで、退去強制手続きの上に一直線にならんでいます。
- まず外国人の特定の行動がある
- その行動が退去強制事由に該当しそうであれば、入国警備官による調査によって収容するかどうかの判断がされる
- 上司である主任審査官は、収容の判断に同意したら収容令書を発付する。
- その外国人は収容令書によって収容される。
- 収容されている間に、退去強制事由に該当するかどうかの審理がある(その外国人も参加する)。
- 審理の結果、放免されたらそれで無事に終了。審理の結果、退去強制が決定されると、退去強制令書が発付されて、退去強制の執行プロセスが始まる。
- 退去強制令書によって収容される。
- 身柄を確保渡されながら国外退去となる。
退去強制の審理前の救済措置
もし退去強制事由該当だと疑われてしまったら、それ自体はその後の退去強制の審理で様々な方法で晴らす手立てや制度が用意されています。
その審理の過程まで、収容令書によって収容されそうになったら、審理自体は参加しつつも、収容自体は回避できる場合があります。その手立てが仮放免と監理措置の2つです。
監理措置
親族や知人などが監督をして、その監督の下で生活することによって、収容による身体の拘束が解かれる制度
仮放免
健康上・人道上その他これらの準ずる理由により、収容による身体の拘束が解かれる制度
収容令書による収容の目的
収容令書による収容の目的は、身柄の拘束を通して、以下の目的を達成するためです。
- 逃亡の防止
- 証拠隠滅の防止
- 違法活動等の継続または開始の防止
投獄や収監とは異なる
目的は上記のものであるため、外国人の更生や矯正を目的にはしていないため、投獄や収監とは異なり、罰則の規定や懲役刑等の労働の義務もありません。上記の目的を達成するのに必要最小限の拘束や制限に抑えられます。
人権は守られている
投獄・収監であれ収容であれ、日本人であれ外国人であれ、政府の処遇から人権は守られています。
収容の内容と処遇
収容中の処遇については、拘束的であるため、細かくルールが設定されています。「法の支配」の、いちコンセプトである罪刑法定主義(刑罰ルールもあらかじめ決めておくことで裁量による不合理な独断を許さない制度主義)のコンセプトが借りられて適用されています。
処遇の根拠法令
処遇は、政府レベル・省レベル・各収容施設レベルで定められています。各収容施設レベルの処遇ルールは、省レベルの処遇ルールを超えることはできず、省レベルの処遇ルールは政府レベルの処遇ルールを超えることができません。これによって、個々の下部組織の暴走を防いでいます。また、大元である入管法は国会で衆議院と参議院の国会議員により定められています。
- 入管法
- 被収容者処遇規則(法務省令)
- 各入国者収容所、地方局ごとの細則
収容決定の独断の防止と合理性確保
また、収容令書は入国警備官の違反調査の結果を起点として発付されますが、発付自体は、彼らの上司である主任審査官が発付します。これによって入国審査官の独断を防いでいます。
要急収容
ただし、入国警備官は、彼らの上司である主任審査官の収容令書の発付がなくても、独断で外国人を収容できる場合があります。その条件が以下のものになります。
- 退去強制事由のいずれかに明らかに該当するものが
- 収容令書の発付を待っていては逃亡のおそれがあると信じるに足りる相当の理由がある場合
収容期間
収容令書によって収容できる期間は30日以内とされています。やむを得ない事由があるときには更に、30日を上限として、延長される場合があります。よって、収容令書によって収容される期間は、基本的には30日以内で、理論的な上限でいうと合計期間は60日ということになります。
収容場所
収容令書によって収容する場所は、入国者収容所、地方局・支局及び一部出張所の収容場、その他法務大臣が指定する場所、とされています。
退去強制令書による収容との違い
また、退去強制が決定した後に出される、退去強制令書による収容、とは厳密にいうと異なりますが、似てはいます。両者とも、退去強制という一直線の国外追放プロセス上の収容です。
収容令書による収容
収容令書による収容は、退去強制事由に該当すると疑われている外国人を念のため収容するものです。退去強制の決定を基準点とした場合に、退去強制プロセスの前半部分に係る拘束です。
退去強制令書による収容
退去強制令書による収容は、退去強制事由に該当すると判断され、退去強制が決定された外国人を収容するためのものです。退去強制の決定を基準点とした場合に、退去強制プロセスの後半部分に係る拘束です。