出入国在留管理法の思想・哲学

 すべての法律には立法目的があり、社会をよりよい特定の方向やあり方に制限して修正するものです。出入国在留管理法の最上位の目的は、外国人の入国、在留、出国を管理し、日本の国益や世界平和に資することです。

 世界は約200の国で成り立っています。それぞれが異なる国民や民族で構成されており、言語も文化も法律も常識も異なります。かつては各国内で完結していた経済や産業も、市場経済の原理による文明と技術の進歩により国外へ開かれ、人・物・金の移動がかつてない量と簡易さで行われるようになりました。

さて、このような状況で何の制限やルールもなく、外国人の入国、在留、出国を各国が許してしまえば、各国内がめちゃくちゃになってしまいます。

それに対する各国それぞれの対策があり、日本のそれが出入国在留管理法なのです。

出入国在留管理法は、その構成部分のすべてが、その目的の達成に焦点を当て続けています。

つまり、

  • 日本に入ろうとする全ての外国人のうち、日本の国益等に資する外国人のみを受け入れ、それ以外は拒絶し、
  • 入国した外国人は日本の国益等に資する在留の形であり続ける限りにおいて在留を許し、そうでなくなった場合には出国をさせ、
  • 違法な出国やオーバーステイを防ぎ、出国を記録し管理する。

これらが最上位のコンセプトにつながる中位のコンセプトです。

上記が出入国在留管理法の主目的で、そしてその組織設計、制度設計、手続き設計は、すべてそれらを実現するための構造や手段として機能するように設計されています。この視点に立つと、ただただ意味もなく執拗に詳細にわたり複雑で煩雑であるように見える出入国在留管理法やその関係法令の内容も、すべてが上記のパーツとして意義と有効性を持って、全体性の中に当てはまってきます。

「日本に入ろうとする全ての外国人のうち、日本の国益等に資する外国人のみを受け入れ、それ以外は拒絶し、』を実現する制度

「日本に入ろうとする全ての外国人」

 これを把握するために、日本の空海港に来る航空会社・船舶会社に対して乗客である外国人の身分情報をそろえさせることを義務付ける制度があります

「日本の国益等に資する外国人」

 そうかどうかの一律の基準として、拒否すべきを拒否するための上陸拒否事由があり、国益に資するであろうとされる在留中の在留生活の型を、29種類の在留資格として設けて、それ以外を拒否する制度があります。

「のみを受け入れ、それ以外は拒絶し、」

 そうかどうかの判断をする機関と制度を空海港に設けており、その判断に対する外国人の抗議にも公平に対応できるように3段階の組織設計があります。

「入国した外国人は日本の国益等に資する在留の形であり続ける限りにおいて在留を許し、そうでなくなった場合には出国をさせ、」を実現する制度

「入国した外国人は日本の国益等に資する在留の形であり続ける限りにおいて在留を許し、」

 この判断のために、出入国在留管理庁は外国人の在留に関する調査権限を持ち、外国人に対して各種の届出の義務を設け、税法、刑法、その他各種側面から在留の適切性を判断する制度を設けています。

「そう(有益)でなくなった場合には出国をさせ、」

 このためにそう(有益)でなくなる場合とはどのような場合かというのをあらかじめ在留資格取消事由や退去強制事由として定め、

「違法な出国やオーバーステイを防ぎ、出国を記録し管理する。」を実現する制度

違法な出国やオーバーステイを防ぎ

 このために、空海港で出国を認められない例外的なケースが定められており、また、退去強制の制度があります。

出国を記録し管理する

 このために出国の形態を5つほどに定めそれぞれ必要な手続きを定めています。

このように出入国在留管理法は、立法目的を果たすための中位コンセプトに支えられており、その中位コンセプトは具体的な制度設計や手続き設計によって支えられているのです。そしてその制度設計・手続き設計も数多くの具体的で細やかな規定によって成り立っています。