上陸拒否事由とは、日本に上陸させるべきでない国益に反する外国人の在留を断るためのリストです。実際にこれが空海港での上陸審査時に個々の外国人に適応され、該当したものは基本的に上陸できず帰国することになります。
上陸拒否事由は在留全体を貫く禁忌事項の一部
上陸拒否事由は、上陸時にのみ問題となるものではなく、在留中や在留後も実質的にルールとして当てはめられ続けるので、上陸許可後も退去強制事由やガイドライン等の各種法令に加え、その項目に当てはまらないように注意しなければいけません。上陸拒否事由は、上陸前から在留中もそして出国後も外国人の行動を規定します。
「そもそも入れない、入った後も当てはまったら終わり、終わらなくても大損害」
在留中の該当
在留前はこれらに当てはまっていなかったが、在留中に当てはまってしまった場合にも在留は危険にさらされます。なぜなら、まず、上陸拒否事由はその一部を退去強制事由と共有しているからです。これは、そもそも上陸してほしくない外国人リストなわけですから、上陸後に当てはまったとしても退去強制になるように在留制度が設計されています。
次回の在留資格の更新・変更へのペナルティへつながる
たとえ、退去強制とまではいかなかったとしても、退去強制事由に在留中にひっかかるということは、在留資格の変更や更新について政府が定めるガイドラインの一部である「素行要件」にひっかかり、素行が悪いと判断されます。そうなると在留資格の変更や更新は難しくなります。
在留後の該当
もし仮に、在留が終わり出国した後や、一時出国中に、上陸拒否事由に当てはまる行動をしてしまった場合にも、再度日本に在留するときや再入国をする場合に、上陸を拒否されます。
上陸拒否事由の一覧
全体の項目は多岐にわたり、法律の条文を見ても記憶しにくいですが、以下覚えやすいようにグループ分けをしてグループに名前を付けました。大きくわけると6つのグループに分かれます。実際の項目はその中で細分化しています。
- 治安低下リスク要因者
- 武器・麻薬関係者
- 退去強制関係者
- 公安破壊企図者
- 保健福祉リスク要因者
- その他
治安低下リスク要因者
- 犯罪を犯したことがある者
-
国内外で1年以上の懲役・禁固・これらに相当する刑に処せられた事がある者(政治犯罪による場合は除く)刑が確定したことを要し、刑が実際に執行されたかどうかや執行猶予がついたかどうかは関係ありません。
- テロリスト
-
国内外でテロをおこなって処罰されたことがあるもの。
- 売春関係者
-
売春業務に従事していたことがあるもの(斡旋、勧誘、場所の提供等も含む。強制売春の被害者は含まない。)。
- 人身売買者
-
人身取引を行ったもの(それを唆し、助けたものも含む)。
武器・麻薬関係者
- 麻薬犯罪者
-
国内外で麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、または向精神薬に関する法律に違反して刑に処せられたことがある
- 武器保持者
-
銃砲・刀剣・火薬類を不法に所持するもの
- 麻薬等保持者
-
大麻、けし、あへん、けしがら、覚せい剤、覚せい剤原料、吸食器具等の不法所持者
- 麻薬・武器等保持による上陸拒否をされた者
-
上記の麻薬等保持者・武器保持者の項に該当して上陸を拒否されたものは、拒否された日から一年間の上陸拒否となります。
退去強制関係者
- 初めて退去強制された者
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退去強制事由(一部除く)に該当して退去を強制されたもので、それが初めての退去強制で、かつ、出国命令による出国もしたことのないものは、退去した日から5年間の上陸拒否となります。
- 退去強制された者
-
退去強制事由(一部除く)に該当して退去強制された者は、退去した日から10年間の上陸拒否となります。
- 出国命令により出国した者
-
出国命令により出国した者は、出国した日から1年間の上陸拒否となります。
- 利益公安関係で退去強制された者
-
利益公安関係の退去強制事由に該当して退去強制となった場合。
公安破壊企図者
- 日本破壊企図者
-
日本国憲法または日本政府を暴力で破壊することを目的に、主張・計画・団体の結成・加入している者。
- 公務員・公物の破壊企図者
-
公務員・公共の施設を暴行・殺傷・損傷・破壊することを勧奨する政党その他の団体を結成・加入・密に関係、をした者。
- ストライキ扇動者
-
工場事業場の正常な運営を阻害するおような争議行為を勧奨する政党その他の団体を結成・加入・密に関係、をした者。
保健・福祉リスク要因者
- 貧困者
-
貧困者・放浪者等で、日本政府の負担になる可能性がある者
- 事理弁識能力非保持者
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事理を弁識する能力を欠く、もしくは著しく不十分な者で、規定されている補助者リストのいずれも随伴しないもの。
- 感染者
-
特定の感染症に感染している、もしくは感染しているとみなされる場合。国境で止めないと国内の衛生に危険を持ち込むような致死率や感染性の高いものが該当します。
- エボラ出血熱
- クリミア・コンゴ出血熱
- 天然痘
- 南米出血熱
- ペスト
- マールブルグ病
- ラッサ熱
- 結核
- 重症急性呼吸器症候群(SARS・コロナウイルス属によるものに限る)
- 中東呼吸器症候群(MERS)
- 鳥インフルエンザ(H5N1またはH7N9)
- その他指定感染症・新型インフルエンザ等
その他
- 法務大臣が指定する潜在的危険者
-
その他法務大臣が日本の利益または公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者。
- 日本人の上陸を拒否した外国の上陸拒否項目への該当者
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その他当該外国で日本人が上陸拒否された理由として、上記の項目にはない項目を用いて日本へ入国する当該外国の外国人を上陸拒否することができる。
- 罪の確定前に出国をした者
-
特定の罪を犯したが、刑が確定する前に出国をしたものは、罪の確定の日から5年間の上陸拒否となります。