出国命令とは、退去強制事由(主にオーバーステイの部分)に該当しそうであるが、初犯であることと、実害の軽微さを考慮して、退去強制令書による退去強制よりも、軽微で柔軟な手続きである出国命令書による出国命令によって、自主的な形式で、かつ、より軽いペナルティで、日本から退去できる制度です。
出国命令を受けることによる利益
出国命令制度は、退去強制制度と2択で対になる制度です。出国命令制度は退去強制制度のライトなバージョンで、どちらにせよ退去しなければならないのであれば、出国命令を目指すべきで、退去強制であるべきではないと言えます。出国命令が出てから実際の出国までに収容されるかどうかと、出国してから次回の来日までの上陸拒否期間、について違いが出ます。
以下違いを説明します。
| 上陸拒否期間 | 国外退去までの過ごし方 | |
|---|---|---|
| 出国命令を受ける場合 | 1年 | 収容されない 制限が少ない |
| 出国命令を受けない場合 (通常の退去強制の場合) | 5年または10年 | 収容されるのが原則 例外として監理措置・仮放免あり |
出国命令の対象者(オーバーステイ)
出国命令の対象者は以下の条件の者になります。リストのすべての項目をクリアしている必要があります。
- 許可された在留期間を経過して日本に在留している不法在留者で(オーバーステイ)
- かつ、速やかに出国する意思を持って地方局などに出頭したもので、
- かつ、過去に日本から退去強制されたこと、または、出国命令により出国したことがないもので、
- かつ、速やかに出国することが確実と見込まれるもの
対象からの除外者
ただし、上記から以下の者を除きます。大きく6つに分類しました。
不法入国の違反者
- 不法入国を助けた者。
- 旅券、在留カード等の偽造・変造、またはその使用者。
- 虚偽申告により、上陸許可や在留資格の取得を行った者
- 偽造在留カードの所持、提供、受領などを助長する行為を行った者。
不法在留の違反者
- 資格外活動を専ら行っている者。
- 不法就労を助けた者
- 在留資格の取消し(22条の4第1項)を受けた者のうち、特定の事由に該当する者。
- 在留資格の取消し(22条の4第1項第1号または2号)を受けた者のうち、虚偽等があった者。
- 特定の特例上陸許可を受け、期間を過ぎて残留する者。
公共の利益を脅かすもの
- 日本国の利益または公共の安全を害した者
- 日本政府転覆活動や計画、組織形成を行った者。
- テロリスト、またはテロに関係する組織に属していると疑うに足りる相当な理由がある者。
人身取引・売春・賭博・麻薬の違反者
- 人身取引等を行った者、またはそれを助けた者。
- わいせつ、賭博等により、罰金以上の刑に処せられた者。
- 売春に関連する業務に直接従事した者。
- 麻薬等の違法薬剤の違反者。
刑法犯・実刑犯等
- 刑法犯(窃盗、強盗、詐欺、恐喝等)により、懲役または禁錮に処せられた者。
- 1年を超える懲役・禁錮に処せられた者(執行猶予付きを除く場合あり)。
- 少年法による刑事処分、または特定の矯正施設からの退院に伴う措置が必要な者。
その他
- 法務大臣が日本の利益を害すると認定する行為を行った者。
出国命令の受け方
退去強制を避けるため、出国命令を受けるには、自主的に、入管庁の地方局等に出頭する必要があります。
逆に、在留期間がすぎている(オーバーステイ)のに、入国警備官や警察等に見つかるまで待って、見つけられてから出国命令を希望することはできません。
入管へ行く際は、身分証に加え、整理された真実の理由と、いつ出国するのか(航空券の予約状況など)の情報を持って行くとよりよいです。
出頭しても出国命令に該当しないと判断された場合
出頭によっても、出国命令対象者には該当するとは判断されずに、退去強制のルートに乗る場合もありえます。その場合には、退去強制かどうかの審査の2段階目である特別審理官による口頭審理や、3段階目の審査である法務大臣への異議の申出の中でも、出国命令対象者であると主張をし、そのように判定しなおされ、出国命令されることはありえます。
出国命令下の活動条件
出国命令を受けた場合には、退去強制令とは違い、収容はされませんが、活動に一部制限を受けます。この条件に違反した場合は、せっかくとった出国命令が取り消される場合があります。
出国期限
15日を超えない範囲で設定された出国期限内に出国する。
やむを得ない延長
飛行機や船の都合、その他の都合で、外国人本人に責めを帰することができない場合で、その外国人からその旨の申出があった場合に、出国期限が延長される場合があります。
住居及び行動範囲等
場合によって、住居及び行動範囲の制限その他必要と認める条件を付される。
出国命令を受けてから出国するまでの流れと動き
- オーバーステイしている外国人が自主的に地方局等に出頭する
- その外国人を入国警備官が違反調査する
- 違反調査の結果、外国人容疑者が出国命令対象者であると思料された場合、退去強制規定の収容令書によりその容疑者を収容することなく、その事件を入国審査官に引き継ぐ
- 引継ぎを受けた入国審査官が、容疑者が出国命令対象者であると認定した場合、上司である主任審査官が出国期限を定めて出国命令(出国命令書)をする
- 直ちに放免される。
- 出国命令に従って速やかに出国する
出国命令で出国したあとの流れと動き
出国命令をうけて日本から国外退去となった場合でも、また日本に来ることはできます。しかし、一定の制約と条件をクリアしなければいけません。
1年は入国拒否
出国命令により退去してから、1年間は日本に入国することはできません。その期間は、日本上陸の審査時に、入国の拒否をされてしまいます。
2度目の出国命令制度の利用はできない
出国命令は一度しか利用できませんので、次回の在留で同じことが起きた場合には、出国命令制度は利用できずに、退去強制となるかどうか、という流れになります。また、過去に退去強制を受けたことがある場合は、一度も出国命令制度を利用していなくても、出国命令制度を利用する権利がなくなります。