在留の開始時に在留資格を取得したとしても、場合によって、在留中に在留資格は取り消されえます。そもそも在留資格とは、日本の利益に資するように外国人の在留のあり方を規定するものです。その規定の外側の行為を行ってしまった場合には、日本の利益に資することが担保できなくなってくる可能性があり、この場合に取消となります。
在留資格の取消は、退去強制事由の一つとされており、実質的には、退去強制の開始と見るべきです。深刻な影響が出ることを理解して、どこにどんな網目が張りめぐらされているのかを理解しておくことが大切です。
在留資格取消事由は大きく分けて以下の3つにわけることができます。それぞれを順番に説明します。
- 入国時や入国後の虚偽申請
- 入国後の不活動
- 入国後の居住地の不届け
入国時や入国後の虚偽申請
虚偽申請によって在留資格を得たのであれば、それがばれたら取り消されるのは、当然の帰結です。以下は具体的にどのような種類の申請の時に、どんな虚偽の内容が問題になるのかを説明します。
対象になる申請の種類
- 入国時
- 査証申請
- 在留資格認定証明書交付申請、等
- 入国後
- 在留資格の変更、更新
- 特別在留許可申請、等
対象になる虚偽の内容
- 上陸拒否事由に該当していることを秘匿した
- 上陸目的、在留目的について虚偽を申し立てた
- 不実の記載のある文書・図画を提出した
虚偽の内容別にペナルティの重さが変わる
上記の「上陸拒否事由に該当していることを秘匿した」「上陸目的、在留目的について虚偽を申し立てた」に該当した場合には、在留資格の取消から退去強制へとつながる通常のパターンをたどります。
ですが、「不実の記載のある文書・図画を提出した」については、出国猶予制度が適用されます。
在留資格が取り消された後に、30日以内の出国猶予期間が定められ、出国期間指定書が交付されます。その期間内に出国すれば適法在留中の出国として扱われ、そうでなければ、退去強制事由に該当し、退去強制になります。
入国後の不活動
別表1の在留資格は、外国人が本邦で行ってよい活動を規定しているとともに、その活動を行うことを条件として付与されています。つまり、規定の範囲内の行為を、正当な理由なく、何もせずに無為に過ごすということもまた、規定に反する、ということです。
「行ってよいし、行わなければならない」
3か月か6か月の不活動期間
ほとんどの在留資格は3か月という期間を不活動の認定ラインとしています。
例外として6か月と設定されているものが以下のようにあります。
- 高度専門職2号
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
出国猶予制度適用
この規定に引っかかった場合には、30日以内の出国猶予期間が定められ、出国期間指定書が交付されます。その期間内に出国すれば適法在留中の出国として扱われ、そうでなければ、退去強制事由に該当し、退去強制になります。
入国後の居住地の不届け
日本政府は個人情報の基本である、外国人の居住地を把握したいと思っており、外国人に居住地の届出が義務付けられています。日本人も同じように居住地を届け出るものとされていますので、国内にいる人々の、居住地の把握を目的とした制度を外国人にも適用したものと言えます。
中長期在留者のみ
居住地の届出が必要とされているのは、中長期在留者のみです。短期在留者の届出が除外されているのは、旅行などで転々とする事情をふまえ、現実的な運用性を重視したものと思われます。
90日以内に新しい居住地を届け出なければアウト
中長期在留者は90日以内に、入国して決定した居住地や、在留の途中で引っ越しをして新しくなった居住地を届け出なければいけません。本来は14日以内にこれらを届け出るという規定がありますが、それをさらに過ぎて正当な理由なく90日を超えてしまうと退去強制につながります。
出国猶予制度適用
この規定に引っかかった場合には、30日以内の出国猶予期間が定められ、出国期間指定書が交付されます。その期間内に出国すれば適法在留中の出国として扱われ、そうでなければ、退去強制事由に該当し、退去強制になります。