会社業績の悪化で賞与(ボーナス)がゼロになったら高度専門職ビザの更新はどうなる?見込年収と実績の乖離・70点割れを防ぐ実務ガイド

「会社の業績が悪化して決算賞与やインセンティブがゼロになったが、次回の高度専門職ビザ更新にどう影響するのだろうか?」

「前回申請したときの『見込年収』と、実際の『源泉徴収票(実績)』の金額が大きく乖離してしまった場合、入管から虚偽申告を疑われて不許可になるのだろうか?」

高度専門職ビザの取得時、年収ポイントは「向こう1年間に見込まれる予定年収(基本給+想定賞与・インセンティブ等)」をベースに計算されます。しかし、景気後退や会社の業績不振により、支給されるはずだった賞与がカットされたりゼロ(不支給)になる事態は現実に発生します。

入管の更新審査では、「過去の源泉徴収票の実績額」と「申請時に会社が証明した見込年収」が厳しく突き合わされます。実態と乖離したまま安易に更新申請を出すと、ポイントの過大申告を疑われたり、70点未満と判定されてビザ更新不許可(出国準備期間への転落)となる重大なリスクが生じます。

本記事では、賞与ゼロ・大幅減額が発生した際の入管審査のメカニズムと、更新不許可を回避するための具体的な防衛実務を徹底解説します。

Contents

1. 賞与ゼロ・大幅カットが高度専門職の更新審査に与える「2大リスク」

賞与が不支給または大幅減額となった場合、更新審査で直面する主なリスクは以下の2点です。

直面するリスク入管の審査ロジック想定される悪影響
① 見込年収と実績の乖離
(過大申告疑惑)
前回のビザ取得時に会社が提出した「年収見込証明書」の金額に対し、直近の源泉徴収票の支払金額が大幅に下回っている場合、入管審査官は「ポイントを水増しするための虚偽申告ではなかったか」を警戒します。会社側の事情説明(業績悪化理由書)を求められ、審査が大幅に長期化・厳格化するリスク。
② 次期年収の見込み低下による
「70点割れ」
賞与カットにより基本給のみで再計算した結果、年収ポイントが下がり、合計点数が70点(または80点)を割り込んでしまう現象です。高度専門職ビザの要件未達となり、更新不許可(または通常の就労ビザへの変更勧告)となる。

2. 入管は賞与ゼロをどう評価するのか?審査の実態

多くの外国人材が「賞与がゼロになった実績があると即座に不許可になるのではないか」と恐れますが、実務上の入管のスタンスは以下の通りです。

① 合理的な企業業績の悪化であれば「即不許可」にはならない

入管もビジネスの現実を理解しています。全社的な業績悪化、市況の急変、プロジェクトの延期などに伴い、就業規則や賃金規程に則って全社的に賞与がカットされた場合、その合理性を客観的に立証できれば、過去の乖離自体を理由に直ちに不許可処分を下すことはありません。

② ただし「次期の見込年収証明」の信憑性が厳しく疑われる

最大の問題は過去の実績ではなく、「向こう1年間の見込年収」です。前年度に賞与がゼロだったにもかかわらず、次回の更新申請書に「次回は賞与が満額出る予定である」として高い年収見込額を記載すると、審査官から「根拠のない見せかけの数字」とみなされ、年収ポイントが減点されます。

3. 賞与ゼロで更新を迎える際の「3つの防衛実務アプローチ」

賞与カットにより年収が落ち込んだ状態で更新を突破するための実務手順は以下の通りです。

アプローチ①:会社発行の「業績悪化に伴う賞与不支給の理由書」を添付する

実績年収が見込年収に届かなかった正当な理由を客観的に証明するため、勤務先企業から**「業績連動賞与不支給に関する理由書」や「決算公告・業績推移の客観資料」**を入管へ提出します。

「外国人社員個人を不当に差別・減給したのではなく、会社の業績連動ルールに基づいて適法に賞与が変動したこと」を明記し、意図的な過大申告でなかったことを論理的に主張します。

アプローチ②:基本給ベースの「堅実な年収見込」で70点をクリアする

次期の年収見込証明書には、不確実な業績賞与を過大に盛り込まず、**「確実に支給される基本給+固定手当」をベースにした堅実な金額**を記載します。

もし基本給ベースだけで年収ポイントが下がっても、他の加点要素(職歴の加算、日本語能力N1、国家資格、自社加点など)を積み増して合計70点以上を立証できれば、入管から疑義を持たれることなく一発で更新許可を勝ち取ることができます。

アプローチ③:70点を維持できない場合は「通常の就労ビザ(技人国)」へ切り替える

基本給ベースで試算した結果、どう調整しても70点未満になってしまう場合は、無理に高度専門職のまま更新を出して不許可になるのを防ぐ必要があります。

在留期限が到来する前に、自ら**「技術・人文知識・国際業務」ビザへの「在留資格変更許可申請」**を行います。技人国であれば年収ポイントの縛りはなく、「日本人と同等以上の報酬」および職務内容と学歴の一致を満たしていれば確実に日本滞在を継続できます。

4. 賞与変動とビザ更新に関する「実務タイムライン」

業績悪化による賞与カットが発生した際、更新に向けて進めるべきタイムラインです。

  • STEP 1(賞与不支給の確定時): 賞与ゼロが決定した時点で、直近の源泉徴収票(見込額)と基本給を確認し、現在のポイントを再試算。
  • STEP 2(更新4〜5ヶ月前): 基本給のみで70点を維持できるか判定。不足する場合は、日本語試験や業務関連資格など他項目での加点積み増しを検討。
  • STEP 3(更新2〜3ヶ月前): 勤務先の人事・総務部門と連携し、「賞与不支給に関する理由書」および次年度の「年収見込証明書」の文面を調整。
  • STEP 4(更新申請の提出): 70点以上を立証できる場合は高度専門職の更新申請を、70点を下回る場合は「技人国」への変更申請を在留期限までに提出。

5. 実務でよくある疑問・注意点(Q&A)

賞与ゼロ時の高度専門職ビザ更新に関して、現場で多く寄せられる疑問に回答します。

Q1. 賞与がゼロになった年度がある場合、永住権の申請(1年・3年特例)は不可能になりますか?

A. 賞与カットによって該当年度のポイントが70点(または80点)を下回っていた場合、その年度を跨いでの永住申請は原則不許可になります。 高度専門職ルートの永住審査では、過去1年間(80点)または過去3年間(70点)のすべての年度において継続して基準を満たしていたことが源泉徴収票で確認されます。賞与が復活して改めて規定年数の基準をキープできるようになってから申請するのが安全です。

Q2. 会社都合ではなく、個人の人事評価の低下で賞与がゼロになった場合も理由書で通りますか?

A. 個人の評価による減額の場合、審査官から「職務継続の安定性」をより厳しく見られます。 この場合、会社から「一時的な評価変動であり、雇用契約自体は安定して継続していること」および次年度の最低保障額を証明する書面を提出し、生活維持能力に懸念がないことを立証する必要があります。

6. まとめ:賞与変動に左右されない確実なビザ防衛体制を

高度専門職ビザの年収ポイントは、賞与やインセンティブの変動によって大きく影響を受けます。

会社の業績悪化で賞与がゼロになった場合でも、過去の乖離に対する論理的な理由書の提出や、他項目でのポイント補填、あるいは適切なタイミングでの通常就労ビザへの切り替えを行うことで、ビザ失効のリスクを完全に回避できます。

業績悪化に伴う高度専門職ビザの更新、年収見込と実績の乖離対策、技人国ビザへの切り替えでお悩みの際は、高度専門職実務に精通した専門家へご相談ください。

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