「転職したばかりで新しい会社での勤務実績がまだないが、今すぐ『高度専門職ビザ』へ変更申請できるだろうか?」
技術・人文知識・国際業務(技人国)などの就労ビザで働いている外国人が、年収アップやキャリアアップを機に転職した際、このような疑問を抱くケースは非常に多く存在します。
結論から申し上げますと、転職直後(入社1日目や試用期間中)であっても、新会社での「勤務実績」は一切不要で、高度専門職ビザへの変更申請が可能です。
本記事では、なぜ勤務実績がなくても申請できるのかという入管法の仕組みから、試用期間中の注意点、新会社で必要な立証書類、そして永住権申請への影響まで法務実務を徹底解説します。
1. 結論:転職直後でも勤務実績ゼロで高度専門職へ変更可能
入管(出入国在留管理局)における高度専門職ビザの審査では、**「過去の勤務実績」ではなく「今後1年間の活動の見込み(予定年収・職務内容)」**が審査対象となります。
そのため、新会社に入社した直後であっても、あるいは転職先が決まって入社する直前の段階(内定段階・雇用契約締結後)であっても、高度専門職ビザへの変更申請(在留資格変更許可申請)を受理・審査してもらえます。
- 入社1日目での申請: 可能(新会社の雇用契約書で年収立証)
- 試用期間(プロービング期間)中の申請: 可能(本採用前提であれば問題なし)
- 前職での在職年数の縛り: なし(前職を1年未満で辞めていても審査に悪影響なし)
2. 転職直後の高度専門職申請で審査官が見る「3大立証ポイント」
勤務実績が不要である一方、転職直後の申請では「新会社での契約内容の確実性」が厳しくチェックされます。提出書類で講じるべきポイントは以下の3点です。
ポイント①:新会社から提示された「予定年収(今後1年間)」の立証
高度専門職のポイント計算における年収は、過去の源泉徴収票ではなく**「今後1年間に新会社から支払われる確約された年収」**で計算します。基本給、確約された賞与、役員報酬などを明記した雇用契約書や「年収見込証明書」の提出が必須となります。
ポイント②:試用期間中の給与減額や解雇リスクの払拭
契約上「試用期間中は給与が80%になる」「試用期間終了後に本採用の可否を判断する」といった条件がついている場合、試用期間中の年収でポイント計算を行わなければならず、70点・80点を割ってしまうリスクがあります。「試用期間中も同額の給与が支払われ、契約解除の特別の理由がない限り自動移行する」旨の契約文言が必要です。
ポイント③:前職の退職手続き(14日以内の届出)の履行
転職に伴い、前職を退職してから14日以内に「所属機関に関する届出(離職)」を入管へ提出しているかが確認されます。この届出を怠っていると、素行・コンプライアンス上の不備とみなされ、審査が遅延または不許可になる恐れがあります。
3. 転職直後の申請に必要な「書類パッケージ」
転職直後にスムーズに許可を得るために揃えるべき書類一覧です。
- 1. 新会社との雇用契約書・労働条件通知書の写し: 給与・賞与・職務内容が明記されたもの。
- 2. 新会社発行の「年収見込証明書」: 今後1年間の支給見込額を立証。
- 3. 新会社のカテゴリー立証書類: 法定調書合計表や四季報の写し、登記事項証明書等。
- 4. 前職の退職証明書(離職票等の写し): 前職を適法に退職した証明。
- 5. 高度専門職ポイント計算表および各種立証資料: 学位記、日本語能力試験合格証、過去の職歴証明書等。
4. 実務でよくある疑問・注意点(Q&A)
Q1. 転職してすぐ高度専門職になり、そのまま1年で永住申請できますか?
A. 可能です。 高度専門職ポイントで80点を獲得してビザ変更した場合、新会社での勤務実績が1年間経過した時点で永住許可申請を行う権利が得られます。さらに高度なテクニックとして、「過去1年前の時点(前職時代)でもすでに80点以上を満たしていた」ことを立証できれば、転職直後に高度専門職へ変えた後、間を置かずに永住申請することも法的に可能です。
Q2. 前職の源泉徴収票(低い年収)を提出する必要はありますか?
A. 税務証明として提出を求められますが、ポイント計算には影響しません。 過去の納税義務を果たしているか(住民税の未納がないか)の確認として前職の源泉徴収票や課税証明書を提出しますが、高度専門職の年収ポイントは新会社の予定年収で審査されるため、前職の年収が低くても問題ありません。
5. まとめ:勤務実績よりも「新会社での契約精度」が許可の鍵
転職直後であっても、新会社での勤務実績を問われることなく高度専門職ビザへの変更は可能です。鍵となるのは、新会社から提示された雇用契約書や年収見込証明書が、入管の求める条件(今後1年間の確約された年収・職務内容)を完璧に満たしているかどうかです。
転職に伴う高度専門職ビザへの変更や、永住権を見据えた法務設計にお悩みの際は、高度専門職実務に精通した専門家へお気軽にご相談ください。
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